処暑

こんなに大きかったっけ?握った手が意外に肉厚で驚く。すっかり日焼けした横顔が頼もしく見える、夏の終わりの夕暮れ時。こんなふうに一緒に散歩に出かけるのも、あと数年かもしれない。そんな思いがふいに風にのる。 Advertisements

立秋

橋の上、風はそよいでいるのに、首筋はじっとり。来る秋に抵抗するように、夏の残りがまとわりついていた。つないでいた手からは、何かを搾り出すように、汗が滴ろうとしていた。まだ、離したくない。

大暑

白いゴムをあごの下に引っ掛けて坂道を駆け下りると、もうみんな集まっている。男の子5人、女の子5人、少し遠くの公園まで子ども達だけで出かける、くすぐったい待ち合わせ。やっぱりワンピースにしてよかった。夏休みが始まる。

小暑

熱を含んだ空気が足元を上ってくるので、ハンカチで顔をパタパタと扇ぐ。汗ばむにつれ、迷いが込み上げる。反対方面行きの電車が、空気と一緒に私の気持ちも吹き上げて行く。もう一本だけ待ってみる。

夏至

芝の緑。急な雨に打たれて後ずさる私に目もくれず。あなたの視線は揺るぐことがない。むせ返るような土の匂いと、張り付くシャツの形状。

芒種

水分を含んだ深呼吸。こんな田舎に来ちゃって、やること他にないじゃん。あなたの胸にぶら下がったストップウォッチが、紋章のように見える。走るだけ。最後のシーズンが来る。