小暑

熱を含んだ空気が足元を上ってくるので、ハンカチで顔をパタパタと扇ぐ。汗ばむにつれ、迷いが込み上げる。反対方面行きの電車が、空気と一緒に私の気持ちも吹き上げて行く。もう一本だけ待ってみる。 Advertisements

夏至

芝の緑。急な雨に打たれて後ずさる私に目もくれず。あなたの視線は揺るぐことがない。むせ返るような土の匂いと、張り付くシャツの形状。

芒種

水分を含んだ深呼吸。こんな田舎に来ちゃって、やること他にないじゃん。あなたの胸にぶら下がったストップウォッチが、紋章のように見える。走るだけ。最後のシーズンが来る。

立夏

あぁ、そうだった。こうして季節は変わっていくんだった。少しずつ、緑が茂り始めて、あの小道が細くなる。2人並んで歩くには、少しだけ手狭になる。大きなぼんぼりのような紫陽花を揺らしながら、あなたと歩いた季節がやってくる。

清明

この時期にここへ来るのは地元の通だけなんだよ、なんて言いながら歩を進める、ちょっとした登り坂。息が上がる。梅園の小道がパッと開けたその奥に、大きな桜の木。息を呑む。